いい加減な恋のススメ



ヤバい、1番恥ずかしいと言っても過言ではないところを思い出してしまった。
私は必死に熱を下げるように手で顔を扇いだ。


『で、ご飯食べに言っただけで終わっちゃったの?』

「あー、うーん、うん……」

『そっか……ついに告白されたか』

「ええ!?」


何で分かるんだ!、と言うと杏は「何年の付き合いだと思ってんの」と呆れたように言った。まぁ変に濁してもそれでバレてたと思うし、相談したかったらまぁいいか。
私はあの日、ご飯を食べた後駅まで送ってもらっているときに起きた出来事について話した。


『ふーん、返事は?』

「まだ……本当に帰り際に言われたから」

『ジワジワ自覚させていくタイプか、侮れん……』

「……」

『で、どうしたいの』


どうするの?ではなくどうしたいのって聞く辺りが杏らしいと思った。
どうしたいのって、そりゃ付き合いたいけど……


『結構な好物件なんでしょ?何で付き合わないの?』

「……」

『……別にさ、好きとか好きじゃないとか置いといて、付き合いたいか付き合いたいかで考えなよ』

「……付き合い、たい……けど」

『けど、何?』

「……」


あぁ、やっぱり黙っておけない……



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