いい加減な恋のススメ



私、今危なかった。あと少しで前みたいに流されてた。だけど前と同じってのは嫌だったから。何故かその気持ちが全面に出てしまったから。
じゃあ、前と違うかったらキスしていたこと?


「……な、ないでしょ」


あり得ないでしょ私、何考えてるんだろう。だから、お願いだから、心臓よ、落ち着いて。

いつもだったらここで動揺が解けてもいいはずなのに今日は何故だかいつもと違っていた。ドキドキが止まらない。もしかして珍しく彼が謝罪なんてしてきたから?

私、絶対に変だ。こんなの。

まるで、まるで……


「(まるで幸澤先生のことが……)」


それじゃああのとき拒めなかったのも全部そのせいだというの?私が今までしてきたのは一体なんだったんだろう。

そんなのいつからそうなっていたんだろうか。


「(いやいやいや、嘘だ!)」


そんなの絶対ない!本当に落ち着いて泉!焦りすぎて変なミスしてるんだよ。
幸澤先生のことで頭がいっぱいになった私は必死に彼のことを追い出そうと廊下を走り出した。

まるで高校生のように走った。とても久しぶりに感じた。

誰かを追って走っているときって、やっぱり気持ち良かった。

あれ、私この感じ昔も……



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