いい加減な恋のススメ
と、小田切先生とそんなことを話していると、
「安藤先生」
「っ……」
急に後ろから話し掛けられ驚きで思わず体が跳ねた。幸澤先生ー、と言ったのは隣にいた小田切先生で、そんな彼に幸澤先生は「どうも」と軽く気怠げに挨拶する。
「資料室の説明するんでついてきてください」
「……」
そうか、放課後だからってこの人と関わらないってことじゃないんだな。この人が私の教育係である以上、この教育実習では私はこの人を避けて通ることは出来ない。
素直に頷いて席を立つとそのまま彼に連れられ職員室を出る。前を歩く背中を睨んでいると急に「そんな熱視線で見ないでくださいよ」と言われシャーッと猫のように威嚇した。いつ私がそんな視線で貴方を見たんだ。
「そういう、誤解を招くようなこと言わないでくれませんか?」
「誤解?誤解もなんもあったもんじゃねぇだろ。ていうか、そんなことで勘違いする方が変」
「だからそういうことおおっぴろまに言わないで!あと敬語!」
「はいはい、すみませんでーした」
なんだそのいい加減な返事は!!彼の態度に頭を悩ましていると彼は「カリカリすんなよー」と呆れたように呟いた。