いい加減な恋のススメ
気付いてしまった想い
どうやったら私のことをちゃんと見て貰えるのか、そればっかりだったからもっと大事なものを見落としていたのかもしれないと今気が付いた。
「(まただ……)」
私は返されたレポートの紙を強く握った。
皆川さんは泣いていた。きっと彼に振られたんだろうと私の周りの子達は言っていたけど、この前のことがあったから私はなかなか彼女のことを悪く見るようなことは出来なかった。
あのとき、悔しかったけど皆川さんの気持ちも分かるなって思ってしまったから、皆みたいに彼女のことを笑うなんて私には無理だった。
だけど彼女が泣いていて、本当はちよとホッとしている自分にだって気が付きたくなかった。
「で、まだ怒ってるんだ?」
「だって可笑しいよ、私あの課題提出日の3日前に出したのに」
「いや、早すぎでしょ」
杏は机に肘を置いて私のことを哀れ見た。
私は返された課題の評価に不服だった。絶対最高評価を貰っても可笑しくない出来だったのにあの男……
「でもいいじゃん、泉はテストの点数めっちゃいいし」
「……でも、なんか嫌」
「なんで?」
「テストで頑張っても……」
意味がないってずっと前から分かっているから。