いい加減な恋のススメ
「だ、大丈夫」
「本当?良かった」
「……」
「今日の夜何してる?夕御飯食べに行かない?」
「あ、今日は」
明日授業あるし、手は抜けない。
「今日はちょっと残ろうかなって。明日の準備しなきゃ」
「あぁ、そうだった。ごめんね」
「ううん」
小田切先生は「じゃあ頑張ってね」とエールを送ってくれるとそこで離れた。
折角小田切先生にも応援してもらえてるんだから頑張らないと駄目だよね。
「(よし、絶対成功させて見せるぞ)」
私はそう意気込むと私服室の方へと向かった。
誰よりも努力してきた回数なら負けないって思っている。昔から頭がいいねとか言われてきたけど、元から頭が良かったなんてことはなくて、その分人よりも勉強を頑張ったし、皆が遊んでいる間もそれに励んだ。
その成果を見せるのが今なんだと思う。
私は明日話す内容を書き終わると大きく欠伸をした。
まさかちゃんと話すことさえ書いておかないと心配になるなんて……どこまで私は小心者なんだと思う。
時計は7時過ぎだった。殆んどの人が残っていない。
私は書き終わったそのノートを眺めながら、ふと考えた。
「(なんて思うかな……)」