いい加減な恋のススメ
「担当クラスの生徒?」
「はい、」
「……いーちゃんちょっと泣きそう?」
「声を掛けられたのが嬉しくて」
それに男子にまで、そう涙組む私に川西先生は「ピュアだなぁ」と呟いた。しかし声を掛けられたのはいいがそのついでに嫌なことまでも思い出してしまった。この前の幸澤先生のことだ。
一気に気分が悪くなる。あぁ、今日もあの人に会わなきゃいけないんだ。しかも1ヶ月は必ず。そんなの嫌すぎる。一刻もあの人にはこの世界から消えてくれるか他国へ逃げてくれないとアレルギーで私の体が大変なことになりそう。
「そういえば川西先生は理系クラスでしたよね」
「そうだよー、殆んど男子だから嬉しい」
「そ、それ嬉しいんですか?」
「やり易くていいじゃん」
わ、分からない。一体相手が男子だと何がやり易いのだろうか。そんな疑問が頭の中を駆け回ったがきっとこれからのことには全く必要ない知識だと思って私はそれを捕まえてゴミ箱に捨てた。
と、
「Hello!アヤ!イズミ!」
「あ、 リック先生」
今度は誰だと思ったら英語専攻のリック先生だった。出身はオーストラリアらしく、彼も今回の実習生だ。確か本名は……うん、長ったらしいので彼が初日に教えてくれたあだ名で呼ぶのがベストであろう。