いい加減な恋のススメ














「(もう無理かも……)」


2月の冬空の下、私は路上でしゃがみこみながらそう思った。
タイムリミットは迫っている。それでも私の体は言うことが聞かなくてその場から離れられない。

今日はとても大切な日だった。何せこの日のために中学はずっと勉強をしてきたのだし、これからの人生だった決まってしまうのに。
頑張ってね、とお弁当を渡してくれた母の顔が浮かんで涙が出てきそうになった。あの占いなんか滅多に信じない父も高い学業の御守りを買ってくれた。

あと少しで目的の高校なのに、それまでの道が遠く思える。どうして最寄りの駅からこんなに離れているの、そう思う。
第1志望の高校に受験するために歩いていたけれど突然の腹痛に襲われ、歩けなくなってしまった。きっと昨晩から始まった生理のせいだと思うけど、あまりの痛さに立ち上がれなくなってしまった。

混まないようにと人気が無い道を歩いていたせいか、助けてくれるような人もいなくて、かれこれ20分はずっとこうして座っている。
どうしよう、もうあと少ししたら試験が始まってしまう。途中から入らせてはくれないと思うし、本当に参った。

私って本当に運が悪い。



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