いい加減な恋のススメ



リック先生はまだ日本に来て2年か3年で、言葉が片言である。


「いい天気デス!小春日和!」

「全く小春日和じゃないし、それ多分言葉覚えて使いたかっただけですよね」

「ハハッ」

「ハハッ、て……」


なんか実習生のキャラ濃くないかな。私この中で頑張っていけるの?よく考えたらこの人たちの方が人気出ちゃいそうだもんな。
私が不安そうに胸を押さえたからか、リック先生は再び覚えたての日本語で「ダイジョーブダイジョーブ」と私の背中を強く叩いた。

そんなキャラの濃い2人と歩いて自分が豚骨スープに浸かっているように感じながら、やっとのことで職員室に着いた。


「おはようございます、安藤先生」


隣の席の小田切先生がそう声を掛けてくれる。そうだ!小田切先生がいるじゃないか!この爽やかボーイが!
私が意味もなく「ありがとうございます……!」と返事をすると彼は不思議そうに顔を傾げた。


「安藤先生は徒歩ですか?」

「そうです、小田切先生は」

「僕は自転車です。家が近所なので」

「あ、そうなんですか!」


て、普通に小田切先生はここが母校だから何ら可笑しくないか。しかし先程の2人とは違ってなんて話しやすいことか!きっと小田切先生はいい親御さんに産んでもらっていいところの学校行って、それでこんな好青年になっているんだろうな。



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