いい加減な恋のススメ
1年生の時は彼が授業に来るだけでその他に関わりもなかったから、2人で話したりすることも無かったけれど、奇跡的に2年生の時に彼は私のクラスの担任になった。
嬉しかった。だけど私は素直になれくて文句を言うことでしか彼に話し掛けられなくなって、それでいて私だけに冷たい反応をする彼にムカついていた。
私のこと、見てよ。気付いてよ。
だからあの言葉を言われたとき、私の気持ちは粉々に砕け散った。
「お前、俺のこと好きみたいだな。まぁ、有り得ねぇけど」
私が彼のことを追い掛け続けていたある日、彼は冗談混じりにそう言った。
彼にとっては私のことをからかうために言ったのだと思うが、私はあるものがポキンと体の中で折れたような音がした。
その時、「あ、もう駄目かも」って思った。この人が私のことを見てくれることも、あの日の女子が私であることも気が付いてくれる日は来ないんだろうと心が折れた。
私はいつか開けようとしていたあの気持ちから手を離した。ずっとこの気持ちは胸にしまっておこうと思った。
「ふざけたこと言わないで、幸澤の癖に」
「あぁ?そもそもお前が俺にしつけぇんだろうが」
「じゃあそのいい加減なところ直してよ!スッゴク迷惑!」
「やんのかコラ」
恋心をしまったら、私を見てくれない対抗心だけが私に残った。
そこで彼から引かなかったのはきっと私のプライドが高いせいだ。
その時やっと思い出した。
―――「あぁ、それ彼女用のだから。気にすんな」