いい加減な恋のススメ
と、
「安藤!」
後ろから彼が私を呼ぶ声がする。あ、今駄目だ。
今来られたら絶対に……
「お前、よくやった!」
「っ……」
幸澤先生はそんな明るい声と共に私の頭に触れ、ワシャワシャと髪の毛を掻き乱した。
あ、
「止めてください、髪の毛がぐしゃぐしゃになっちゃうじゃないですか」
「あ?俺が珍しく褒めてやってんだから口答えすんな」
「何それ!理不尽!」
幸澤先生、本当は私……
ずっとずっと、
「(ずっと……)」
貴方に、認めて欲しかったんです。
貴方に褒めて欲しくてずっと頑張って勉強をしていたんです。それはきっと私の我が儘だったのかもしれないけれど。
他の子達が楽しそうに幸澤先生と話しているのを見てずっと羨ましくて、彼女たちは何も努力していないのに彼に笑い掛けて貰えて、どうしたらいいかなって何回も思った。
だけど私に出来るのは頑張って勉強をして、彼に近付くことで。
彼に1番は私だって認めて欲しくて、だからずっと勉強をして来たんです。
「流石俺の教え子だなぁー。てか俺の教え方がよかったんだな、流石俺」
「……」