いい加減な恋のススメ
いい加減な恋のススメ
その日は完全に晴天と言うわけではなく、それでいて過ごしやすい気候だった。
最近はずっと暑い日が続いていたから、漸く秋が来たと感じられる。
私がこの道を歩くのはきっと最後になるだろう。
「いーちゃん!」
いつものように学校までの道を歩いていると後ろから川西先生に声を掛けられる。これもいつも通り。
「おはようございます」
「おはよー、遂に文化祭だね」
「何か生徒よりも盛り上がってません?」
「そりゃ上がるよ~!楽しみ~!」
実習生だってこの日は色々忙しいというのに。私は彼女の天真爛漫さに呆れるほかなかった。
それはそうと、今日は高校の文化祭である。つまり私たち実習生にとっては実習最終日。授業自体は昨日で終わっているから何も気を張ることは無いのだが。
ただ、折角仲良くなれてきた生徒たちと離れてしまうのは寂しい。
「あ、川西先生。お昼頃から何してます?」
「え?あー、そうだね。休憩時間ねー」
「良かったら一緒に回ってくれませんか?私その時間暇なので」
「ん、いいけど……あれ、」
ギリギリは?、と首を傾げる川西先生の言葉に私はズーンと気分を地の底にまで落とされた気がした。あぁ、私は本当になんてことを。
「別れたんです」
「え!?」
「……」