いい加減な恋のススメ
彼は少し空を見つめた後、ゆっくりと目を瞑って、そして微笑んだ。
「うん、いいよ」
小田切先生は何も怒りもせず、ただ納得したように返事をするため、驚いたのは私の方だった。
「え、あの……いい、の?」
「何でよ、安藤さんがそう言ったんじゃないか」
「そうだけど、」
「……」
狼狽える私に彼は「何となく」と続ける。
「気付いてたんだよね、初めから。俺は俺なりに頑張っていたつもりだけど、幸澤先生にはどうやっても勝てないなってこと。
だって安藤さんの中にはずっと前から幸澤先生がいるんだもんね」
「な、何であの人が」
「そうじゃないの?あの人が理由でしょ?」
そんなことを言われたら、私は頷くしかなかった。
本当に自分が情けなくなる。彼への気持ちから目を逸らそうとして、その為に小田切先生と付き合って、それでいて最後はやっぱり無理だからって彼に別れを告げてしまった。
私は本当に、最低な女だ。
「ごめんなさい、小田切先生のこと利用して。もっと私が自分に正直でいたらこんなことにはならなかったのに……」
全部、私のせいだ。