いい加減な恋のススメ



幸澤先生のその目線から逃げるために顔を背ける。


「てかお前こんなところで油売ってんな。俺のところに今日の予定聞きに来いよ」

「……すみませんでした」

「いいな、お前が学校に来て1番初めに挨拶すんのは俺だから」

「はぁ!?」


何でそんな約束しなきゃいけないんだ!私が誰に挨拶するのも勝手じゃん!
しかし相手が自分の上司のためそんな態度も取れずに私は黙り込んでしまった。

本当にいい加減なんだから。


「それより幸澤先生、私のこと何度も"お前"って呼ばないでくださいよ。私はもう貴方の教え子じゃないんですから」

「安藤先生が学生の頃を知ってる俺からしたら安藤先生はずっと餓鬼のまんまです」


可笑しい、安藤先生って呼ばれてるし敬語だって使われているのに全然馬鹿にされている感じがする。本当にこんな感じでやっていけるのかな、私。やはりこの人とは合わない気がする。

しかし仕事はしなくてはいけないと今日の予定を聞こうと立ち上がろうとしたそのとき、逆に彼が体を曲げて私に近付いてきた。
そして私に手を伸ばしてきたと思ったら、その手は私のタイトスカートの裾を掴んだ。


そして、


「それより安藤、スカート短くない?これ大丈夫?」

「っ……!?」


吃驚した拍子に私は思いっきり膝で幸澤先生の顔を殴った。そしてそのまま立ち上がると倒れた幸澤先生の顔に指を突き刺し、大声で怒鳴ったのだ。


「こんのセクハラ教師!」


その声は職員室中に響き渡った。



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