いい加減な恋のススメ
今日は実習生を入れての教員飲み会。基本担当の教師以外とは関わりがないため、この日に挨拶できる人はしておけと言われていた。
「いーちゃんお酒どれだけ飲めるの?」
「……そんなには」
「本当?」
川西先生はそう言った私を気遣ってか、目の前にジュースばかり置いてくれる。この人普通に気を遣えるんだ。ただの男好き教師じゃないみたい。
お酒を飲んでいないことを理由に日本史の先生に話し掛けに言ったが「今日ぐらいは仕事忘れなよ」と全く相手にされなかった。本当は幸澤先生に聞くべきなんだろうけどそんなの絶対嫌だし、それに今日は来てないみたいだし。
「あの、……幸澤先生は?」
「なんか明日の小テスト作るらしいから来るの遅くなるか、来ないらしいよ」
「そ、そうなんですか!」
来なくていい来なくていい!来られたら美味しいご飯も不味くなる!
つまりここには私が気にする相手はいないわけだからとても健やかに過ごせるって訳だね。
「安藤先生?」
「あ、小田切先生。どうしました?」
「いえ、安藤先生が凄く嬉しそうな顔をしてらっしゃったので」
「わ、分かりますか!」
あの人がいないんです、と言えば隣に座った小田切先生は「あぁ、」と声を漏らした。