いい加減な恋のススメ
「確か元担任だったんですよね。どうしてそんな嫌そうにするんですか?」
「……ちょっと過去に色々ありまして、彼は私の因縁の相手なんです」
「因縁……」
その理由は色々酷くて言えないんだけども、人に言えるのはそこまでぐらいだ。
じゃないと私がただの性格が悪い女だと思われてしまうから。
「小田切先生もあの人には気を付けてください。嫌なことされたら直ぐ言ってくださいね」
「はは、大丈夫ですよ。それに幸澤先生まだ接しやすい人ですよ」
「どこが、あんないい加減な男」
「だって安藤先生、幸澤先生と話しているときが1番素に近いんじゃないですか?」
「……」
私はその小田切先生の言葉を「別に……」とジョッキに入った烏龍茶と一緒に飲み込んだ。そんなわけがない、ただついあの人には強く楯突いちゃうだけなんだ。
すると彼は「じゃあ、ちょっとお願いしようかな」と呟いたので首を傾げると、
「折角同じ歳なんだし敬語無しで話しません?俺も普段の安藤先生と話したいというか」
「え、でも……」
「学校では敬語でいいですから。ほら、学校を出たらただの同じ歳の男ですよ」
「……」
川西先生にも同じことを言われて断ってしまっていたのに小田切先生に言われたら承諾してしまうとか、私も相当悪い女だ。