いい加減な恋のススメ
と、
「それじゃあ俺と一緒だなぁ……」
そんな信じがたい言葉が耳に届いた。
「え!?」
「ん?」
「い、いないんですか?その……」
「彼女?暫くいないかな……」
「……意外」
だって小田切先生なんて完璧すぎるし、それでいてこんなに優しいのに……そんな人を放っておく女の人なんているんだろうか。
完全にこの人は私とは全く違う華の人生を送ってきていると思ってた。
「も、勿体無いですよ……」
「勿体無い?」
「だって凄くいい人なのに……」
「その"いい人"止まりなのかもしれないね」
「……」
何か食べます?、と話を変えようとしてメニューを取ってくれた小田切先生。こんなに気が利くのに、きっとそれが裏目に出ているんだろうな。私は普通にときめいちゃうけど。
神様は小田切先生に与えすぎだと思っていたけどそういうことでもなかったみたいだ。
私が「早くいい彼女さん見つけてくださいね」と再び烏龍茶が入ったジョッキを持つとメニューを持ったままの小田切先生はふっと顔を緩ませた。
そして、
「じゃあ、俺安藤さんの彼氏に立候補しようかな」
「……」