いい加減な恋のススメ
次の日、私は午後になるとその高校へと足を運んだ。白いシャツ、ジャケット、タイトスカート。うん、完璧だわ。
高校は放課後なのか、運動場や体育館から学生の元気な声が沢山聞こえてくる。
私は職員の先生に連れていかれ、職員室に向かった。やはり私のノミのような心臓ではこの状況を冷静に受け入れることが出来ず、杏が電話で言っていたようにリラックスなんて出来るわけがない。
「えー、と安藤さんだよね?じゃあ担当の先生を呼んで来るから」
「っ……お、お願いします!」
職員室の前で少し小太りの男性にそう言われ、私は落ち着かない様子で大人しく待っている。
ヤバい、私変じゃないかな?スーツの着方合ってる?髪型変じゃない?目の前の窓と長い間にらめっこを繰り返した。
と、不意に後ろの職員室のドアが開く。出てきたのは先程の小太り先生、とその後ろに私の教育担当だと思われる先生だ。
「この人が君の教育担当で……」
「っ……」
小太り先生から説明を預かったその先生に私は頭を下げるとドキドキと胸を激しく打ち付けながら口を開く。
「明日から4週間お世話になる安藤 泉です。宜しくお願いします!」
教育実習で1番大事なのは教育担当の教師との相性だ。勿論成績に深く関わってるくる。
しかし私は自分のことに必死で、そんなこと頭から飛び出していた。
だが、
「安藤?」
その、聞き覚えがある声に私は不意に顔を上げた。