いい加減な恋のススメ
―――「お前みたいな直球なやつ苦手なんだよね……」
いつか彼に言われた言葉に魘(うな)されて目を覚ました私はその寝付きの悪さに再び瞼を閉じた。
初めて彼が困った顔を見せて私にそう告げた。どこかで勘弁してくれとも言っているようだった。
人の期待に応えられないというのは自分の程度をよく知るのに最適だ。
「(そうだよ、私はもう……)」
あの人のことなんて気にしなくてもいいんだ。だって私は私だし、それに高校を卒業した時点でもう彼との接点は何もなくなっているんだから。
いつまで彼に人生を狂わせているのか。そんな自分に苛つきを覚えるのなら……
全部なかったことに。
私はベッドから体を起こすと酷い頭痛に襲われた。何これ、頭をかち割るような痛みに私は必死に耐えた。そしてその痛みで思い出した。
そうだ、昨日は飲み会で、私は何故かお酒を……あ、小田切先生が頼んだサワーを何故か飲んじゃったんだ。それからの記憶が全くない。
それはとても恐ろしいことだが無事にベッドの上に寝ているということは家には帰ってこれているのだろう。
よかったー、と安堵の声を漏らし足を伸ばしたその時、私の足にコツンと何かが当たった。