いい加減な恋のススメ
「何で、私と幸澤先生がっ」
「……あ、お前覚えてないの」
「な、何が……」
「んー、説明面倒だな」
「っ……」
ちゃんと説明してください!、と強く呼び掛けると彼は「うっさい」と私のことを睨んだどうしてこんなことになっているのにそんな目で私のことを見るの?
それよりも気になってることがある。
「あ、の……ここ」
「ラブホ」
「っ……何で、裸で」
「あれ、お前保健体育の成績悪かったっけ」
「全然関係ないじゃないですか!」
「あるじゃん」
ぐっと私が後ろへと引くと彼は「分かってんじゃん」とまた冷たく言い放った。
何これ何これ、私が可笑しいの?だって普通に考えて恋人でもない女とする?ラブホテル入る?
それも、元教え子相手に。こんなこと、本当にあるの?
「嘘だと言ってください……」
「嘘」
「本当ですか?」
「いや、お前馬鹿になった?」
「馬鹿にもなりたくなりますよ!」
そう言って側にあった枕を彼に投げ付けると器用にそれを避けて受け止める。そんな余裕さにまで腹が立つ。
そんな私の態度に再び呆れたのか、溜め息を付くと「本当に餓鬼だな」と彼は言った。
「まぁ、でも……」
「……?」
「体だから大人になってんな、お前」
「っ……」
ニヤリと笑った彼に「死ね!」ともう1個枕を投げ付けた。今だったら怒りでこのベッドですら持ち上げられそう。
本当の悪夢はこれからだと、私は知ったのだった。