いい加減な恋のススメ




そういえばスマホを全然見ていなかったな、と電源が切れていたそれを充電器に差すと誰からラインと通話が来てきた。どちらとも杏からであった。

杏からの通話を逃すことは無かったので彼女も心配しているのだろうか、ラインにて「大丈夫?」と送られてきている。
取り合えず杏のことは後で整理するとして早くシャワーを浴びて出勤の準備をしないと。
今日は教育実習3日目ではないだろうか。

まだ、


「(まだ3日目かぁ……)」


早く終わってほしいなぁ。

そう感じながらもシャワールームに入ると私は思いっきり水を被った。
忘れたい忘れたい忘れたい、全部のことを忘れてしまいたい。

鏡で自分の体を見ることすら出来ない私は泣くことも出来なくて、ただただひたすらに体を必死に洗った。
こんなことで自分の人生駄目にしたらそれこそ駄目なんだ。

それに、まだ本当にあの人としたかなんて分かってないし。


「(そ、そうだよ……だって何も体に異変ないし……)」


それに"初めて"って痛いんでしょ?それだったら流石に私も酔いが覚めてしまうはずだし、うん、絶対そう!なにもしていない、はず。


「(いい人だったらそう信じられるのに……)」


全然意識がない中あの人とシちゃうなんて、やっぱり私の人生終わっちゃったな。



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