いい加減な恋のススメ
しかも3時間も経っていないのにまた会う羽目になるとは……
「……」
職員室に入る前に中をじっくりと吟味する。よし、あの人はいないな!どうやらまだ来ていないらしい。それもそうか、あの人も一応家には朝帰りだったんだもんね。
ていうか全然考えてなかったけど、あの人って恋人的な類いの女の人っているのかな。でもそれらしきことも何も言っていなかったし、そっちの方が更にやるせないし。
取り合えず教室には入らなきゃ。
と、
「わっ!」
「ひぎぃ!」
「いーちゃんおはよ!」
「……」
背中をパンッと叩かれ吃驚すると後ろに川西先生が立っていた。幸澤先生だと思って変な声を上げてしまった。
「お、おはようございます」
「んー、元気ないー。あ、昨日大変だったもんねー」
「え?」
「覚えてないかぁ、いーちゃん酔い潰れちゃってうちらでどうしようかなって」
「っ……」
ごめんなさい!、と頭を下げると川西先生は「いいのいいの」と手を横に振る。
ていうかそれってもしかして他にも沢山の人に迷惑を掛けてしまったんじゃ。
私の顔色が青く変わったのを見て、彼女は何かを察したのか、
「安心して!他の先生たちにはバレてないから!ちょっと気分悪くなっちゃったみたいなんで~って言っておいたの」
「川西先生……」
「彩って呼んでもいいんだぞ?」
「あ、彩ちゃん……」
これは呼ばずにはいられない。この人は私の命の恩人だ。