いい加減な恋のススメ



初めはただの男好きのちょっと馬鹿な先生だと思ったけどここぞというときに頼りになって、なんていい人なんだろうか。


「それでさ、いーちゃんどうしようかなぁって言ってたらギリギリが自分が送るって言って」

「待って、"ギリギリ"って誰ですか」

「えっと、ほらあの爽やかな」

「小田切先生?」

「あー、そう!」


私あだ名付けないと名前忘れちゃうんだよねー、と川西先生は舌をペロッと見せた。いやいや、それは多分そのあだ名を付けるから忘れてしまうんじゃなくて?

ん?でもなんで小田切先生が……


「でもギリギリって自転車で来てるじゃん?どーすんのかなって思って。そしたら『じゃあ俺が送る』って……」

「っ……」


まさか……


「幸澤先生……?」


そう言うと川西先生はキラキラと輝いた目で私の肩を掴むとグイッと顔を近付けた。あ、なんか嫌な予感がする。


「覚えてるの!?」

「え、いや……」

「あのね!幸澤先生がいーちゃんと家近いからって送ってってくれたんだけど、私は思うにあれってヤキモチ妬いたのかなって」

「は?ヤキモチ?」

「だってギリギリから無理矢理引き離すように連れていったし」



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