いい加減な恋のススメ
なにそれ、そんな話全然聞いてない。
「何かあった?」
「べ、別に……」
「えー、つまんなーい」
「つまんないって」
「私、人とそういう恋バナが好きなんだよねー」
パパラッチ彩。いや、貴女が好きなのは恋バナと言うよりかはどちらかと言うとスキャンダルの方では。やっぱりのこの人に関わるのはやめておいた方が身のためかもしれない。
「ほ、本当に何もなかったですから」
「えー、本当に?」
「っ……」
本当です!、と私は教室へ入ろうとする。いつまでもこんなところにいたら通行人の邪魔になってしまう。
「ちぇー、何か面白いことになってないかなって思ってたのに」
「あの人となんて勘弁してください」
「何で?だって幸澤先生格好い……」
「……?」
川西先生?、と振り返ると彼女は何か慌てた様子で私の腕を勢いよく掴んだ。そしてこの可愛らしい顔からは想像が出来ないぐらいの力で私のことをお手洗いの方へと引っ張っていった。
彼女は中に誰もいないのを確認すると先程と同じように私の肩を掴んで顔を近付けてくる。
すると、
「いーちゃん首!」
「首!?」
「後ろ!」
「後ろ!?」
「キスマーク!」
「……」
暫くしてその意味を理解すると「うぇ!?」と変な声を発した。