いい加減な恋のススメ



慌てて鏡で何とか首の後ろ辺りを見ると確かに何やら見慣れない赤い斑点を見つけた。


「いーちゃん彼氏いる?」

「い、いないいないいない!」

「ていうことはぁ……」

「っ……違います!」

「ははーん、もしやぁ?」

「こ、幸澤先生とは本当に何も無かったんです!」

「別に幸澤先生って言ってないんだけどなぁ」

「はぅっ」


私の馬鹿ぁあぁあぁ!上手いこと乗せられて言ってしまったぁあぁ!しかも1番バレたら面倒くさそうな人に言ってしまった!!


「えー、話お聞きしたいんですけどいいですかぁ?」

「よ、良くないですよ!ていうかもう少しで朝礼始まるし早く戻らないと」

「それよりもそれ隠さないとなぁ」

「……」


まかせて!、と川西先生はどこからともなくファンデーションを取り出すと私のその痕の部分に当て始めた。
これ、やっぱり幸澤先生が付けたんだよね。ほんっと悪趣味だな!こうなるって絶対分かってた!自分に被害がないからって人に迷惑を掛けても全く反省しないところは相変わらずである。あの人を困らせるの大好きだから。

私が怒っているのもいつも……笑って見てた。



< 46 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop