いい加減な恋のススメ



「あ、幸澤先生おはようございますー」

「はよー、仲良くおトイレですか」

「女性にそんなこと聞くの失礼じゃないですか!」

「いーもん、別に俺お前らの好感度上げようとしてないし」


ウ、ウザッ!

私がジーッと彼を睨んでいると「もう少しで朝礼始まるよ」と話を逸らした。
しかしそこを逃がさないのがこのパパラッチ彩だ。


「幸澤先生、昨日はいーちゃん送ってくれてありがとうでした!」

「ちょ、!」

「んー?あぁ、そういえば……」

「っ……」


彼は私の方へと視線を向けるとニヤリと口角をあげる。なんだその顔は。お願いだから何も言わないでほしい。


「でもいーちゃんと幸澤先生何も無かったんですね」

「おいおい、俺もこんなやつと何かあったら嫌だぜ」


いや、どの口が言うか。


「それにいーちゃんったら首のキスマ」

「ちょーっと!川西先生!」


何を言うおつもりで!?、と私が慌てて彼女の口を塞ぐと途中まで聞いた幸澤先生は「首?キスマ?」と首を傾げる。て、おい!絶対身に覚えあるでしょうが、アンタは!


「も、もういいです!川西先生行きますよ!」

「えー」

「えーじゃない!」


これ以上彼女にも彼にも変なことを言われては困る。私は必死にイケない化学反応を起こそうとする2人のことを引き離した。
取り合えず安心しきったところで後ろの幸澤先生が「あー、」と何かを思い出したように呟いた。

そして「安藤」と私の名前を呼ぶと、


「それ、胸にもあるわ」

「……」


じゃあお先でーす、と職員室の中に入っていった幸澤先生に私の発狂と彩ちゃんの悲鳴が鳴り響いた。



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