いい加減な恋のススメ










世界で1番嫌いな男の頭から何かが生えていてる。黒いその尖った物体はにょきにょきとその大きさを象徴してくる。

あぁ、悪魔だ。


「そこまで避けてるとバレないもんもバレるよ」

「っ……」


10mほど先にいた幸澤先生は私のことを振り返ると呆れるように呟いた。
もうこの人の側にいたらろくなことがないと悟った私は教室に向かう途中でも彼と半径10mは距離を取っている。もう同じ空気ですら吸いたくない。


「とっくに1人にはバレてますよ!アンタが変なこと言うから!」

「はぁ?俺何か言った?」

「忘れたと言ったらぶっ殺すわよ!」

「教師がそんな言葉吐かないー」

「~!」


ムカつく!いちいち腹が立って疲れちゃうんだもん!
何でもかんでも皮肉たっぷりに返してくる彼にシャーッと威嚇するとその挑発に乗ったように彼は私に向けて舌を見せてくる。


「……」


本当に、どうってことなかったんだな。いつも通りだし。もしかしたらこの人にとって酔った人間をホテルで介抱するっていうのはもう慣れたものなのかな。他の皆にもよくやってる?

べ、別にいいですけど!



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