いい加減な恋のススメ
私の言葉のせいで生徒たちの意向は完全にお化け屋敷に移ってしまったようだ。
幸澤先生は隣で呆れたように息を吹き出した。
「何か?」
「べっつにー。まぁ決まったんだからいいか」
「嫌なんですかお化け屋敷。怖いんですか」
「舐めんな、怖くねーし」
あれ、何か可愛い、なんて。ジーッと見つめていると彼も横目で私のことを「何?」という目付きで見た。
不意に見つめ合ってしまった私たちは生徒たちの声に我に返る。
「でも教室とかどうすんの?ここ狭くね?」
「ねー、泉ちゃんどうしようー」
私はハッとすると彼から目を離す。私何変なこと思ってるんだろう!
直ぐに意識を生徒たちの質問の方へと向けた。
「確か私の時は、視聴覚室を使った気が」
「えー、そんなところの許可なんか取れないよねー」
「でもあれは幸澤先生が許可取ってくれて」
そう言うと幸澤先生は「げっ」と嫌そうに声を漏らした。この先の意図が読めてしまったらしい。
私は笑顔で彼の方へと体を向けると言った。
「お願いできますか?幸澤先生」
「……」
幸澤先生は疲れたように頭を抱えた。