いい加減な恋のススメ
あぁ、何だか色々思い出してきたかも。確かあのとき私が文化祭委員だったから学級会で決まったことこの人に言いに行ったんだよね。それで凄く嫌がっていたことを思い出す。
「ウチのクラスはお化け屋敷にすることになりました」
「……」
職員室で小テストの採点をしてた幸澤先生は私の言葉を聞いて動きを止めた。
「は?」
「それで幸澤先生にはなるべく大きな教室の使用許可を取って欲しいのですがお願いできますか」
「おい、勝手に進めんな。お化け屋敷?」
「はい」
駄目ですか?どの条件も満たしてますけど、と私が告げるとあからさまに嫌そうな顔をする彼。
きっと幸澤先生はお化け屋敷のような準備が面倒そうな出し物は嫌がりそうだという理由で私なら彼のことを説得できるかもしれないということで駆り出されたのだが。
それでもやはり彼は嫌そうな顔をやめない。
「予算大丈夫か、これ」
「露店でないので買い揃えば」
「……まぁいいよ、頑張って」
「幸澤先生も頑張ってください」
「了解了解」
「(またいい加減な返事)」
そのことをクラスの友人に話すと「お化けが怖いんじゃないか」という話になってそれが広まっていったんだけど、まさか本当だとは思ってなかったなぁ。