いい加減な恋のススメ



その後幸澤先生は準備室に寄ると言って別れてしまったので1人で職員室へと帰る。
その途中で背中を叩かれ、誰かと思ったら川西先生だった。その表情は何処かニヤニヤとしている。


「いやー、見てたよ。2人で歩いてたね、お似合いだったよいーちゃん」

「なっ、歩いていただけですよ」

「照れちゃって、進展あった?」

「無いですよそんなの!」


何故そんな勘違いされているんだと歩き出せば彼女は「待ってー!」と後を追ってきた。


「でも幸澤先生といるときのいーちゃんっていつもと違うよね」

「嫌いだから態度が違うだけです」

「そう?でも素っぽいよ」

「そんなわけ……」


ただあの人は知り合いなだけですし、と私は言ってしまったけれど本当にそれだけなのだろうか。
ていうか私も私であんなことまでされているというのに仲良く話なんかしちゃって何を考えているの?普通避けるよね!?いや、避けてたんだけど!

だけどあの人が私のことをあんまり気にしてないんだと思ったら胸が苦しくなって……て、本当に何なんだろう、これ。

と、


「小田切先生~」


と若い女の子たちの声が私たちに耳に届いた。



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