いい加減な恋のススメ



「私って、いつもこうなんですよね」


何故か私は小田切先生に相談をしていた。


「あの人への対抗心というか何というか、全部があの人からの挑戦だと思ってしまって受けずにはいられないんです。
この前だって理不尽なあの人の言葉に乗って小田切先生との約束破っちゃうし」

「……それは多分」


小田切先生は私の隣で自転車を押しながら駅への道を先を見つめていた。


「それは幸澤先生の言葉の方が最優先だと安藤さんの中で無意識に思っちゃってるからじゃないかな」

「え、」

「ずっと気になってたんだけど、もしかして安藤さんって幸澤先生のこと好き?」

「……」


はて、どこからそんな話題になったのであろう。
私は「は!?」と固まると彼の前へと両手を突き出した。


「いやいや、小田切先生何を」

「え、今のって幸澤先生のことが好きって話じゃなかったの?」

「えええ、どこをどう取ったらそうなったんですか」

「どう取ったらって……」


まさか川西先生や杏の他に小田切先生まで!私ってどれだけ幸澤先生への気持ちを勘違いされてるんだろうか。
特に小田切先生に言われたのはかなりショックなのだが、と私は泣きたい気持ちになりながらも必死に否定した。



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