いい加減な恋のススメ
その夜、どうやっても自分では処理しようにも出来ないので杏に電話を掛ける。
今日あったことを話すと彼女は「よくやった!」と、
『いいじゃん!ていうか向こうもアンタに気あるよ!』
「う、うわぁ……やめてよ、そうやって」
『いやいや、普通に今の聞いたら誰でも思うって』
「……や、」
やっぱり?、と本音を伝えると向こうで大きな笑い声がした。
『まぁ、その真面目すぎるところを隠せばいい女だからね、泉は』
「どういう意味よ」
『とにかく、今すぐその小田切って男に電話掛けないと。私に電話掛けてる場合じゃないっての』
「え!?何でよ!?」
そもそもさっき別れたばっかりで話すことなんて何もないのに。
しかしこれが恋愛経験豊富な杏との差なのか、彼女は「馬鹿だねぇ」と私のことを詰ると、
『掛けないと損でしょ、それに貰った日に掛けないと何かとタイミング逃して掛けづらくなるよ』
「で、でも明日にも会えるんだよ?」
『だから別に内容はどうでもいいんだって』
「よくないよ、ちゃんと好感が取れるようなのを考えないと」
「真面目か!」
杏のその台詞に「うっ」と息を飲む。真面目だからこそ全部失敗しないでいきたい。だけど今回そういうことはあまり求められてないようだ。
でもいきなり掛けたらガツガツしてるとか思われないかなぁ。
『それに結局ご飯のこと話せてないんでしょ?』
「ま、まあ、でも忙しいし」
『だから予定決めるんでしょうが』