いい加減な恋のススメ



私はその紙を拾い上げて、「げっ」と声を漏らした。それは幸澤先生に貰った授業のプリントだったのだ。
これに目を通さないとな、と椅子に座るとそのプリントを見つめる。


「しかし綺麗に纏めてるなぁ」


あの性格とは正反対だ。敵ながら天晴れ。
私はまるで作った本人を睨み付けるかのようにプリントを凝視する。


「……」


今日小田切先生に言ったことは何も間違ってはいないけど、きっと彼もどうしてそこまで他人に乱されているんだろうかって思ってるんだろうな。だって1番そう思ってるのは私だから。

どうしてあんなに私の心はぐちゃぐちゃになってしまうの。


「いいや、忘れよ」


忘れよ!忘れよ!それが絶対1番早い解決策だ。もうあの人と寝たとか寝てないとか関係無しに、あの日の出来事は全部忘れてしまおう。


「はい!忘れた!」

私は両手で頭を思いっきり叩いた。そのせいで少し頭がぐわんぐわんと揺らぐ。
私は悔しげに唇を噛み締めるとプリントを再び覗き込んだ。



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