いい加減な恋のススメ



杏は「だーかーらーさ!」と更に声のボリュームを上げると、


『昔の知り合いと偶然再会するとかちょっと運命感じない?もしかしたらこのまま付き合っちゃうかもよ?』

「っ……は、はぁ!?あるわけないじゃん!あんないい加減男とっ…」

『でもでも、高校の頃は結構仲良かったよね~』

「ち、ちがっ……あれは成績とかテストの文句を言いに行ってて……!」

『嫌よ嫌よも好きの内、ていうしね?』

「っ……」


そういう話するならもういい!、と私はそこで彼女との通話を切った。そしてどこにもやれないこの苛立ちを自分の体と一緒にベッドの上に投げ捨てた。
ないないないないない!!!絶対ない!!!幸澤先生のことで高校の間ストレス溜まって仕方なかったのにそんな相手と恋!?ありえないでしょ!

折角杏に癒されようと電話したのに逆効果になってしまった。


―――「お前、何も変わってないな」


「っ……」


私は強く枕にパンチを入れた。あまりにも威力が強かったからか。枕にベコッと穴が空いた。
いきなり会ってなんだあの人!どうしてあんなに失礼なんだろう!


「明日から教育実習なのに……」


ほぼ1日は彼のいることになる。私、4週間も持つのだろうか。


心配だ……



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