いい加減な恋のススメ
「そっかぁ、アイツももうそんな歳かぁ」
「でも知ってる人で良かったじゃん」
「あれ、でも確か泉って幸澤のこと……」
歩がそこまで言って他の2人と顔を見合わせる。彼女たちが何を考えてるのかは分かる。
「だから困ってるんだよ」
私は溜め息を漏らす。
「あの人いい加減だし」
「直ぐ対立してたもんね」
「適当な人って許せないんだよね」
「あ、これは泉まだ彼氏いないな」
「っ……」
まるで弱味を握られてしまったかのように私は自然と口を閉じてしまった。いやいや、私に彼氏がいないのは関係ないじゃん。
「そんな人と丸1日一緒にいるんだよ?きっついよー」
「でもああ見えて幸澤って結構授業面白かったし勉強になるんじゃない?」
「分かるー、難しいところとか分かりやすかったし」
「でも、何か泉には冷たくなかった?」
「……」
そんなに注目されても困るってぐらい私に視線が集まった。私は烏龍茶を全て飲み干してから素っ気なく言う。
「あっちも私のことが嫌いだったんじゃない?」
知ってる、あの人は確かに他の生徒に比べて私のことを厳しい目で見ていた。何処かで嫌われているんだろうなって思ってた。