いい加減な恋のススメ



「あー、いたいた。私たちのクラスには1人だったけど高学年の女の人とか結構いたみたいだよ。ほら、あの時3年生の授業も取ってなかった?」

「えー、そうなんだ。でも1人と言わずに内緒で好きだった人とかいそうじゃん」

「あれ、誰だっけあの人。名前出てこないー」


泉分かる?、と聞かれて私は首を横に振る。心当たりはある。だけど体が思い出したくなかった。
すると歩が「あ、思い出した!」と嬉しそうに顔をあげる。


「皆川さんだよ!ほら、髪の毛短くて運動できた子」

「あー、頭良くてテストでいい点取ってた……」

「頭良いって言っても泉よりは下だったけどねー」


そう言われてどう反応していか分からずにいると「泉は1位への執着が違うから」と笑って言われた。
私はその言葉にムッとすると無理矢理その話を続ける。


「で、それって告白とかしたの?」


チクッと胸が痛む。何でだろ。


「したらしいけど、ねぇ?」

「振られたらしいよ、まぁ当たり前だよね」

「でも幸澤ってあの時26歳ぐらいなわけじゃん?女の先輩の彼女ぐらいいても驚かないよねー」

「いや驚くわ、教師だぞ」



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