いい加減な恋のススメ
皆は次々と話を続けるけれど、私はさっきの言葉が頭の中をぐるぐると何往復もしていた。
皆川さん、やっぱりあの人に告白してたんだ。それをあの人は振っていた。
「やっぱし教師と生徒って駄目なんだね」
「ていうか未成年に手出しちゃ犯罪でしょ」
「泉のクラスはいないの、幸澤にマジになっちゃってる子」
「いないかな」
「当たり前でしょ、今の高校生と幸澤の歳いくら離れてると思ってるの」
流石に幸澤でも生徒に手出さないでしょ、という声にピクリと反応する。
生徒、じゃあ元教え子はもうそれに枠には入らないのかな。彼にとって大事なのは今の生徒だけで、過去の生徒のことはどうでもよく思ってるのかな。
それでも私だから?
「まぁ、泉も頑張れー。まだ始まったばっかり?」
「あ、うん……」
「むしろ今回こそあの幸澤ギャフンと言わせちゃいなよ」
「大丈夫、そのつもりだよ」
彼の気持ちが分からない。忘れようと思っていた筈なのに何故か私は彼のことを考えていた。
大丈夫、今は自分のことだけを考える。私はそう自分に言い聞かせてなるべく落ち着いた雰囲気を醸し出した。