いい加減な恋のススメ
気が付くと休日も最後になっていて、電話で結局小田切先生に連絡できていないことを言うと杏にめちゃくちゃ怒られた。
けれど明日にも会えるんだしと諦めてその日は寝ることにする。
お風呂に上がって歯磨きをしているとスマホが部屋に鳴り響いた。こんな夜に誰からだろうかと覗き込めば「小田切先生」と書かれた画面に「ほぉ!?」と驚きの声を上げる。
慌てて口を濯ぐとスマホの通話ボタンを押した。
「は、はい!安藤です!」
『もしもし?安藤さんに掛けてるんだから安藤さんだとは思うんだけど』
「で、ですよね……」
焦りすぎて変なこと口走っちゃった、反省。私はトホホと頭を下げる。
小田切先生は「夜遅くにごめんね」と断りを入れた。
『本当は安藤さんから電話掛けてきてくれるの待ってたんだけど』
「っ……ご、ごめんなさい……私」
『ううん、大丈夫。こうして俺の方が我慢できなくなって電話掛けちゃってるわけだし』
「がっ……」
我慢できないって、私は彼の言葉でかなりの体温を上げる。
それに通話中だからか彼の声が耳元で聞こえて、まるで囁かれているみたいだ。