いい加減な恋のススメ












「おはようございます!幸澤先生!」

「……」


私がそう朝1番に挨拶をすると彼はあからさまに不信感を抱いたかのような表情をした。


「どうしたんですか?1番先に挨拶しろって言ってたのは幸澤先生ですよ?」

「……いやはや、大分キャラを変えたようですね安藤先生」

「キャラとは?」

「逆に怖いわ、それやめろ」


俺にそんな笑顔向けたことねぇだろうが、と彼が言ったけど、確かに満面の笑みってなかなか無いかも。
でもこうしてやってみると彼が戸惑っている姿も珍しく何だか満足感を覚えてしまう。


「私、今日も頑張りますね」

「……まぁ、頑張るのはいいことだけど空回りしないようにしてくれよ」

「はい」

「……」


彼は見ていたプリントから目を離すとテーブルに肘を付いて彼の机の側に立っている私を見た。上目遣いで見られて思わずぐっと来たが何とか耐えた。

と、


「何かあった?」

「え?」

「態度変わりすぎて」

「……」


暫し見つめ合った後に私は今までで1番綺麗な笑顔を作って言った。


「嫌なこと全部忘れたんで」


彼はそんな私を見つめると「あっそ」と呟いた。



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