いい加減な恋のススメ
放課後、私は借りてきた参考書を返すために社会科準備室へ向かっていた。
幸澤先生に「ここで作業したらいいのに」と言われたのだが、あの色々な専門な先生がいる中で授業の準備をするのは緊張してしまうので職員室に持ち込ませてもらった。
今日は小田切先生とご飯を食べに行く日。さっきもちょっと話したときに場所を確認した。
待っていてもらうのもおこがましいので急いで戻しに行こう。
あと1つ角を曲がれば社会科準備室だ。私は早足でその教室へ向かう。
と、その時。
「好きです!」
その角を曲がった瞬間に聞こえたその声に私は驚いて後ろに下がった。
慌てて壁に隠れて胸に手を置く。吃驚した、告白だ。流石高校生、私とは違って青春の日々を送っている。
ただ、人が通るようなところでするのはどうかと思うけど。
私は興味本意で壁からその告白現場を覗き見る。駄目だと分かっていても気になってしまうものは仕方がない。
が、見えたその光景に私は思わず持っていた参考書を落としそうになった。
告白している女子生徒の前に立っているのは幸澤先生だった。