▼リセット。













灰色の筒、
淀んだ青空。


鼻をつく焦げ臭い匂い。




火葬場の煙突から立ち上る白い煙。




それをぼんやりと抜け殻のように眺めていたはずなのに、








いつの間にか私は深い闇の中にいた。





前を見ても、後ろを見ても、出口も入り口も見当たらない。





終わりがあるようにもおもえないのに息苦しい。





そんな漆黒の世界。


そんな闇の中、目を凝らせば






一つだけ、ぼんやりと光る何かの影。






『君の願いはそれだけ?』






近づいたとたんに、ぐるりと私のほうを向いては



首を傾げた黒い生き物。



ぼろきれのような布の下にカチカチと歯を鳴らす骸骨の顔。








黒い神様?とつぶやけば、僕が神様か、とケタケタ笑う。







死神様?と聞いてみれば、そうでもないよとまた笑われた。
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