▼リセット。
不思議と怖いとは思わなかった。
どうして自分がこんなところにいるのか。
そんなことすら気にしている余裕もなかった。
心を蝕む喪失感と魅力的に響く甘い声が、
私の正常な判断能力を壊す。
「涼ちゃんを…
…返してくれるの?」
私はすがるようにそう聞いた。
目の前にいるこの骸骨の姿が異形であることに、
喜びと希望を見出す私がいる。
もしかしたら、と叶わないはずの希望を胸に、
返してと切望する私がいる。
『うーん…
それは君次第だね。
君が正しい選択を選べば、君の幼馴染くんは戻ってくるだろう。』
楽しげに歯を打ち鳴らした神様は、
私の首に何かをかける。
小さく古い、昔テレビで見たようなアンティークの懐中時計。