▼リセット。
ーリセット02
*
頭の中でカチンと音が鳴る。
何かの歯車が狂って、噛み合わず欠けたみたいな嫌な音。
目覚ましの音が同時に耳元で揺れだした。
割れるように痛い脳髄の奥、
流れるようにさっきまでの記憶が流れ込む。
涼ちゃんが死んで、
葬儀場で私は気が狂ったように泣いた。
そして涼ちゃんが燃える火葬場の煙を見て、
それで…
「…ッあ」
涙でひきつった頬に気付いたとともに、
「黒い神様」が夢だったということに気付いて。
願望が、夢になっただけだったのか。
返してもらえるはずもなかったのか。
私は火葬場で気を失って、自分に都合のいい夢を見ていただけだったのか。
非現実的な夢にすがったせいで、
元々血みどろだった心が更に深く奥まで抉られる。
何でこんな夢を見てしまったのだろうと、
どうしようもないことで自分を呪う。
頭を押さえて、うずくまった。