▼リセット。
ーリセット01
*
「オイ、起きろ。
いつまで寝てんだ。」
ピピピ、と耳障りな目覚ましの音。
徐々に大きくなってくる怒声に眉を顰める。
一度は目を開けかけたものの、眩しすぎる光りに臆して再度瞼を閉じた。
、と。
「早く起きろっつってんだこの馬鹿!
遅刻すんぞテメエ!」
「うごふっ!」
耳をつんざく怒鳴り声とともに、鋭い右ストレートが私の鳩尾を的確に突く。
えぐるような痛みに悶絶するとともに、
涙ににじんだ視界に映る、青筋を立てた幼馴染の姿。
「…おはよーございます涼ちゃん。
ドメスティックな愛が重いです。」
「何が愛だボケ。
俺渾身の怒りのパンチが軽いわけねーだろうが。
いいからとっとと着替えて支度しろ。」
「もう涼ちゃんったらツンデレ?
着替えみたいなら言ってくれたらいいのに。」
「もう一発食らいたいか?
七海の貧相な胸なんて誰が見てえと思うんだよ。」
かみ合わない会話の応酬大会。
最悪すぎる目覚めに幼馴染、もとい涼ちゃんの毒舌が突き刺さる。