▼リセット。
「―――だから涼ちゃん勉強教えて!」
ごまかしを何とか重ねたうえで、今日一日考え続けた作戦を開始する。
大まかな流れは変わっていない、この10月19日の16時15分。
ここは「分岐点」だ。
このままだと涼ちゃんは部活に行って、そのままバスに乗ってしまう。
16時台のバスは45分。
30分しか部活をしていないということは、その日はミーティングだけで終わるのだろう。
そして涼ちゃんの乗ったバスは、土砂崩れにあって生き埋めにされる。
…涼ちゃんをバスに乗せない口実がいる。
「珍しいな、お前から言ってくるなんて…
別にいいけど。」
「ホント?なら約束ね!」
「おう、
じゃあ今日の7時には隣行くから...。」
「涼ちゃん。」
予想通りの言葉を遮って、私は明るい声音を作った。
「さっき、バスケ部の先輩に聞いたんだけどさ、今日の部活は早く終わるんだって。
だから私も終わるまで待ってて、いっしょに帰ってもいい?」
...私が、バスに乗せなければいい。