▼リセット。
全身を包む安堵感。
涼ちゃんはバスに乗れなかった。
多少到着の誤差はあるにせよ、バス停からこれだけ離れてしまったら間に合うことはないだろう。
「てめえ…もういいって…
バス逃しちまっただろうが!
次1時間後だぞこのボケ!」
青筋を立てて怒る涼ちゃん。
だけど私の笑いは止まらなくて。
「ごめん、ごめんってば!
つか痛い!」
ついに声を上げて笑ったら、降ってきたのはグーパンチ。
その痛みすら嬉しくて。
殴られてなお笑い続ける私を見て、涼ちゃんはドン引いたような視線をくれる。
いつもの通学路は
あまりにも平和にざわついていて。
笑いながら、涙が出てきた。
笑いすぎて泣いているわけではないけれど、
周りにはきっと頭の悪い女子高生だと好奇の視線で見られているのだろう。
「…っとにてめえは…」
何をそんなに笑えんだよ、と呆れたような顔で手を引かれる。
――――その時だった。