▼リセット。
「………ぇ。」
タイヤと思しき鉄ゴミの下、はみ出ている手は一体だれのものだろう。
ころころとチャックから千切れかけて転がるバスケットボールを模したキーホルダー。
踏みつぶされたバスケ部のスポーツバック。
あれは涼ちゃんが肩にかけていたものではなかったか。
灰色に塗りつぶされていく頭。
ジンジンと痛む手首に目をやった。
赤紫色に変色した、大きな手の痕。
あの場所にいたのは私と涼ちゃん。
私は今、そことは違うところに転がっている。
彼が私を立たせようとつかんだ手の力は優しかった。
―――じゃあ、この痣は?