▼リセット。
*
「七海が満点とか…
天変地異かよ。」
私の丸しかついていない答案用紙を覗き込んで、涼ちゃんは感嘆したように声を上げる。
「失礼な。」
ふざけたはずの返事はやけに弱々しくて。
「七海?」と私の顔を覗き込んだ涼ちゃんに、「あ、そうだ!」と明るい声で話を振った。
「ねえ、涼ちゃん。
満点取ったご褒美にさ、今日の放課後部活終わったら、
ファミレスでパフェ奢ってよ!
涼ちゃん帰るまで待ってるから!」
乗り出すように提案する私に、彼は頭をわしわしと掻きながら困った顔をして。
「あ―…いや、
今日は7時くらいまで終われねーんだよな…
また明日なら…。」
引き延ばそうとする涼ちゃんに、私はゆるゆると首を振る。
明日じゃダメなの。
今日じゃなきゃ。
きっとこのままじゃ「明日」に涼ちゃんはいない。