▼リセット。
*
他愛もない会話をしながら2人で並んでバス停とは逆方向に歩く。
目的地はすでに目の前で。
「あはは、
超能力とか信じてんの涼ちゃん。」
なんて笑いながら、何度も何度もスマホの時刻に目をやる。
今は16時48分。
あと、12分。
長い?短い?
手が震える。息がし辛い。
動悸で心臓がのたうつ。
そんな恐怖を飲み込んで早くファミレス入ろう、と涼ちゃんの袖を軽く引いた。
カランとなったカウベルに、間の抜けたいらっしゃいませの声。
料理のいい匂いと楽しげな話し声が、一斉に私たちを包む。
「何名様ですか?」
愛想よく聞いてくる店員に涼ちゃんが2名です、と答えて。
案内されたのは落ち着いた奥側の席。
硝子のそばには寄りたくない。
窓際じゃないのが救いだと内心ほっと息をつく。
「…で、どのアイスにする?」
「あ、もうアイス決定なんだ。」
「あたりまえだろ。」
メニューを開く涼ちゃんと対照的に、店の時計ばかりを何回も繰り返し見た。
後、9分。