▼リセット。




涼ちゃんが何かを言いかけたと同時。



……カチン、と長針と秒針が重なる。







黒い一本の線が一瞬、ぐにゃりとまがったように見えた。







店内のオレンジの柔らかいあかりを反射していた時計の文字盤が、膨らむ。






風船みたいに、割れて散って。





刹那、目もくらむような光とともに、辺りを包んでいた風景が丸ごと消える。







私が状況を認識するより先に目の前にあったものすべてが崩れた。




吹き飛ばされて、布きれのように何かに叩き付けられた衝撃。







いや、衝撃というよりは自分の骨がばらばらと崩れていくような感覚だったか。








とっさに吸った空気は、激痛と焦げ臭さにあふれてむせかえる。







熱い。
焼ける。



…何かが、焼けてる。





今にも気を失いそうな痛みに耐えて、必死に瞼をこじ開けた。
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