▼リセット。
どれだけ危険要素を回避しても、また新しい死のルートが17時には設立される。
先回りして予想することができないほどに、運命が成せる死のバリエーションは多種多様かつ想定不可能だった。
そしてさらに最悪なこと。
…何も知らない涼ちゃんは、私の思ったとおりに動いてくれない。
「リセット。」
何十回か繰り返したころには私の体は食事を受け付けなくなっていた。
目覚ましの音、
涼ちゃんの来訪、
ずっとずっと同じ授業。
みんなの同じ発言、英語の抜き打ち小テスト。
「リセット。」
朝作ってきてくれる涼ちゃんのおにぎりを、こっそりトイレで吐くようになった。
昼のお弁当を捨てて、ひたすらノートに助ける方法をつづった。
涼ちゃんがテストの時に何かをくれる回も何回かあったけれど、
最初に甘いと感じた飴を舌に乗せることすらできなくなった。